HOME > DRIVE > タウシュベツ川橋梁 (旧国鉄士幌線)
【 タウシュベツ川橋梁 】 |
|
|||||||||||
|
||||||||||||
|
【タウシュベツ川橋梁】。 北海道河東郡上士幌町の糠平湖にある廃橋である。 大雑把な位置は、帯広市の北、層雲峡・三国峠の南になる。
鉄道橋は元来、『川に架かる橋』という意味合いで、 『糠平川橋梁』とか、『第三音更川橋梁』など、 川の名前を付与して命名されており、 【タウシュベツ川橋梁】も、音更川水系タウシュベツ川に 架かる橋であるため、【タウシュベツ橋梁】ではなく、 【タウシュベツ川橋梁】が正式な橋梁名だと思われる。 しかしまあ、そんな細かいことはどうでもいい。 とにかく、崩壊の危機にあるこの国鉄の遺構には 是非一度行ってみたかったのだ。
旅の第一目標であり、メインイベントなのである。
|
|||||||||||
今回の出発地点は、 【糠平鉄道資料館】。 ここで、【タウシュベツ川橋梁】へのアクセス情報を確認するのだ。 何故そんな面倒なことをするのか? 去年までは、国道273号線から糠平三股林道を経由して 誰でも自由に橋に行けたのだが、今年(2009年)より糠平三股林道が ゲートにより封鎖され、クルマやバイクによる通行が許可制に なったらしいのだ。 【糠平鉄道資料館】での情報では、クルマのみ通行不可で、 バイクや自転車、徒歩ならゲートの脇から通行が可能とのことである。 が、ゲートから橋までは4km程の距離があり、 徒歩では往復で約2時間の道程とのこと。 |
![]() 国鉄士幌線・糠平駅跡に建てられた 【糠平鉄道資料館】。 入館料は100円。(訪問時) |
|||||||||||
もちろん熊出没の多発地帯であり、注意と覚悟を要することは言うまでもない。(徒歩では熊鈴と水筒が必携とのこと)
規制の大きな理由は、【タウシュベツ川橋梁】が有名になり、観光客の増加に伴って事故が増えたことが大きな原因で、苦肉の策とのこと。 @狭い林道で、すれ違えずに接触事故を起こしたり、対向車を避けられずに路肩に脱輪したりするクルマが増え、 中には横転したり谷に転落したりするクルマも多々あること。 A林道を走ったことがないクルマが初めて林道に入り、安全確認や運転を誤って事故を起こしたり、立ち往生したりすること。 B誰でも気軽に行ける観光地と勘違いし、サンダルやハイヒールで訪れ、足を取られて怪我をする人が多いこと。 C駐車スペースに入りきれないクルマが、林道脇に路上駐車し危険であること。 D橋自体も老朽化が進み、脆く危険な場所に平気で立ち入ったりする人がおり、また環境保護の意味合いからも規制は妥当な措置であること。 そんなことがアクセス規制の主な原因とのことだ。 私が実際に行ってみた感想としては、林道は1.5〜2車線の道幅があり、ダート路面の状態も良く、かなり整備された極上級の林道と感じた。 内地にはこのような走りやすい林道は少ないと思うが、ここで事故が多発するということは、かなりの交通量があったのだろう。 最初は、『何で通行規制に・・・』と少し不満を持っていたが、警察の方のお話を伺い、納得した。 徒歩2時間はつらいが、私のクルマには自転車が積んであるので、取り敢えずゲートまでクルマで行き、そこから自転車で橋を目指すことにする。 |
||||||||||||
|
||||||||||||
![]() 今年(2009年)より国道273号線沿いに 『タウシュベツ展望台』 が オープンした。 (国道に標識有り) 利用は無料だが、展望台や 駐車スペースはそれほど広くないので、シーズンは混みそうだ。 |
【糠平鉄道資料館】から【タウシュベツ川橋梁】へ向かう途中、 国道273号線沿いに 『タウシュベツ展望台』 が出来たので、 寄って見る。 国道の路肩に駐車スペースが設置されている。 が、路肩のスペースが狭く、道に対して斜めに駐車するため、 糠平側から来た場合、ちょっと止めにくい。 夏季の混雑時は駐車車両と、通過車両で事故が起きそうだ。
|
|||||||||||
|
![]() 展望台へは士幌線跡を越えて行く。 路盤は遊歩道になっている。 タウシュベツ川橋梁の方は旧線で、こちらは新線の廃線跡である。 |
|||||||||||
![]() 糠平湖とタウシュベツ川橋梁。 展望ポイントは以外と狭いが、眺めは良い。 |
訪問時は5月で、一年を通して湖の水位が一番低い時期らしく、 展望台からコンクリートアーチ橋がしっかり確認できた。 実際に橋まで行かなくても、ここの眺めで満足される方は 結構多いのではないかと思う。 |
|||||||||||
|
||||||||||||
![]() 糠平三股林道。 北側ゲートはやはり閉まっていた。 |
【タウシュベツ川橋梁】へ通じる【糠平三股林道】の入口は、 湖の北側と南側にあるが、糠平ダム横から入る南側ゲートは 【タウシュベツ川橋梁】手前付近で落石の危険があるために 昔から閉鎖されていることが多く、【タウシュベツ川橋梁】へは 北側からアプローチするのが一般的だ。 国道273号線から【糠平三股林道】へ入るとすぐにゲートがあり、 案の定閉まっている。 |
|||||||||||
このゲートを越えて【タウシュベツ川橋梁】にたどり着くには 以下の三つの方法がある。 @ゲート脇をすり抜け徒歩で向かう。 A見学ツアーに参加する。 B申請して通行許可をもらい、ゲートの鍵を借りる。 今回は@の方法で自転車を使ってアタックすることにする。 |
![]() 車載の折り畳み自転車、”もた〜るU号”の出番だ! |
|||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
![]() 少し走ると糠平湖が見え始めた。 |
サドル・ハンドルの固定、ブレーキ調整、 変速機確認、ペダル取付・・・ あ〜めんどっくせ〜!!!
閉ざされたゲートを確認してはUターンして引き返して行く。 やはり【タウシュベツ川橋梁】の人気は高いようだが、 人力でゲートを超えていく人は少ないのだろう。 |
|||||||||||
ゲート前でうらめしそうに見ている人達をバックに意気揚々と 走り出す。 (バカなヤツだ! と思ってるのかな?) 私のウエストバッグにはしっかりと熊鈴がぶら下がっている。 路面は大きな凹凸も少なく良好である。 けど、ダートの林道はアップダウン多すぎ。 ってか平らな道がない。 熊鈴を鳴らし、ヒーヒー喘ぎながらペダルを踏む。 しかし、熊出没多発地帯にたった独りというのは結構恐いものだ。 途中、徒歩でチャレンジしている男性二人組とすれ違う。 すれ違いざまに二言三言挨拶を交わす。 二人なら心強いかもしれないが、アップダウンを徒歩で 往復2時間はキツイだろうなぁ。 |
![]() 【タウシュベツ川橋梁】への分岐点。 自転車”もた〜るU号”の右側に廃線跡があり、そこを進んでいくのだ。 |
|||||||||||
![]() 糠平三股林道方面を振り返る。 廃線跡は川になっている。 |
ほどなく 『タウシュベツ川橋梁見学者入口』 の看板が現れた。 クルマで訪れた場合は、ここが駐車スペースとなる。 【タウシュベツ川橋梁】へはここから右へ分岐する小径を入っていく。 この小径は士幌線旧線の線路があった跡とのことだ。 左の写真のように、廃線跡は現在では川になっており、 (この時期だけの雪解け水だろうか?) 途中倒木が道を塞いでいる。 泥濘の状況から、もう自転車で進むのは無理があるので、 この倒木の所に自転車”もた〜るU号”を置いて 歩いて行くことにする。 |
|||||||||||
森林に囲まれた廃線跡が途切れると、石ころの広場になり その奥に糠平湖が広がる見通しの良い所に出る。 石ころの広場はタウシュベツ川の河川敷であり、その先には待望の 【タウシュベツ川橋梁】が姿を見せている。 規制のおかげで、誰もいない【タウシュベツ川橋梁】を独り占めだ。 このような抜群のロケーションの中を、鉄道が通っていたことを思うと 感慨も一塩であり、またこの地に鉄道を敷設した先達の苦労が 伺い知れるようである。 |
![]() 廃線跡の先にタウシュベツ川橋梁が見えてきた。 |
|||||||||||
![]() 士幌線は単線であったため、橋の幅は線路1本分だ。 部分的に崩壊が始まっており、橋上は立入禁止になっている。 |
前述したが、 【タウシュベツ川橋梁】 はコンクリートアーチ橋である。 湖の水位により毎年水没を繰り返し、冬季は雪や凍結の 厳しい環境にさらされるため、橋に加わる自然外力が大きく 同時期に竣工した鉄道橋よりも老朽化の進み具合が早い。 【タウシュベツ川橋梁】は1937年(昭和12年)の竣工と いうから、既に築70年以上が経過している。 鉄筋コンクリートで外枠(外形)を造り、中には石が詰まって いる構造であることから、コンクリートが崩壊すると橋全体が 倒壊する危険性がある。 修復の声も出ているようだが、私は遺構としての自然崩壊を望む。 |
|||||||||||
|
||||||||||||
![]() 訪問時は雲ひとつない好天に恵まれた。 |
![]() 既に部分的な崩壊が始まっている。 |
|||||||||||
![]() |
![]() |
|||||||||||
![]() |
![]() |
|||||||||||
![]() |
![]() 橋脚表面を入れて、タウシュベツ川を撮してみました。 |
|||||||||||
![]() |
![]() ここにレールが敷かれていた。 橋の端部は既に鉄筋が姿を見せている。 |
|||||||||||
|
||||||||||||
![]() 帰りの林道でパチリ。 このカーブミラーの向こうは崖になっており、 その下には士幌線旧線の廃線跡が残っている。 |
【タウシュベツ川橋梁】は林道のゲート閉鎖によって、 一般車両の通行が規制されたことにより、 本当に行きたい人だけが訪れる場所になったようだ。
今後も一種の聖地として、訪問者を制限し、 橋の自然崩壊を見守って行きたいと考える。 |
|||||||||||
|
||||||||||||
![]()
|
![]() |
|||||||||||
HOME > DRIVE > タウシュベツ川橋梁 | ||||||||||||